2012年9月22日土曜日

肺高血圧

 昨夜は診療後、肺高血圧の勉強会に参加しました。これまでもいろいろな勉強会に参加させてもらっていたのですが、ずぼらして更新していませんでした。久しぶりに更新します。
 肺高血圧症とは安静臥位の平均肺動脈圧が25mmHgを超える状態で、肺疾患やSASなどがあれば、20mmHgwo超える状態と定義されているようです。
 原発性は極めてまれで、全国に2000人足らずといわれていますが、膠原病、先天性心疾患、門脈圧亢進症などの病態に伴って生じる続発性があります。膠原病では、MCTD 1300人、SLE 2750人、PSS 2470人、先天性心疾患 2000人、門脈圧亢進症 500人程度で、比較的まれなので、しばしば見る疾患ではありませんが、予後は極めて悪く、生存率は3年で48%程度で、未治療の場合、2年以内に死亡すると考えられています。
 症状としては、労作時呼吸困難が多いようです。ただし、初期の肺高血圧症は血行動態が変化しているにもかかわらず、無症候だということです。肺血管床が1/3になって肺動脈圧が上昇し始めます。
 CTEPH(慢性血栓塞栓性肺高血圧症)ではワーファリンのみの治療では平均肺動脈圧≧50mmHgの場合、5年生存率は10%と低いです。在宅酸素療法や血栓内膜摘出術も併用されることがあるようです。心臓カテーテル検査以外では心エコーで左心室の扁平化やTR-PG(三尖弁閉鎖不全症の圧較差)が診断には有用なようです。
 BPA(バルーン肺動脈拡形成術)が行われることもあるようです。十分に拡張されれば、術後肺水腫が生じることもあるようです。6分間歩行距離が明らかに延びた例の報告がありました。
 治療薬としては、ET-1拮抗薬としてトラクリアとヴォリブリス、PDE-5阻害薬としてレバチオとアドシルカ、PGI2経口薬としてベラプロストとベラプロストLA、PGI2注射薬としてエポプロステノールがあるようです。我々が使用することはまずない薬です。予後を改善するというエビデンスがあるのはエポプロステノールのみです。そして可能であれば、肺移植が検討されるようです。
 肺高血圧症は、肺動脈圧を下げて右心不全の進行を止めて予後を改善することに尽きるとのお話でした。


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