2013年12月3日火曜日

非アルコール性脂肪性肝炎

 今日は脂肪肝です。メタボな時代に脂肪肝はもはや国民病です。日本人の3人に1人は脂肪肝をお持ちです。その中で飲酒歴のない脂肪肝の一部に脂肪性肝炎を発症する人がいます。NASH:non-alcoholic steato-hepatitisと略されます。こうなると年間2%の割合で肝硬変になり、その肝硬変の中から年間2.2%の割合で肝がんが発生します。その肝がんは決して少ないものではなく、B型肝炎から発生する肝がんより多いのです。ちなみにC型肝硬変から発生する肝がんは年間6.1%ですからNASHも侮れません。ただし、NASHの診断は、採血や腹部エコーなどではできず、肝臓の組織を一部とって病理診断する肝生検を受けなければなりません。
 これを速やかに受けようとする方はあまり多くはありません。入院も必要ですから。もっと簡便に診断できる方法の開発が待たれるところです。
 肝障害を見たら、肝炎ウイルス(HBs抗原、HCV)、自己抗体(抗核抗体、AMA:M2Ab)、免疫グロブリン(IgG, IgM, IgA)、腫瘍マーカー(AFP, PIVKA2)、画像診断(腹部エコー)、繊維化マーカー(4型コラゲン、ヒアルロン酸)などのチェックが重要とのことでした。肝臓も奥が深いです!!


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2013年12月2日月曜日

メラトニン

 今晩はメラトニンに関する勉強をしてきました。先日記載したようにメラトニンは睡眠覚醒サイクルを調整するホルモンで睡眠中に血中濃度が上昇するのですが、加齢とともに分泌が低下するようです。メラトニンの合成・分泌は主に光で調節されているそうで、夜間に光をあびるような生活習慣の乱れによって、その分泌リズムが乱れて、不眠症に至る一因と考えられています。
 私は知らなかったのですが、10数年前にメラトニンを摂らせたネズミのほうが長生きするという論文が出て、メラトニンブームが起こったそうです。それでサプルメントとして欧米では大量に販売されたのですが、中毒症状を呈する人が出たとのことです。今日の話ではMT3というメラトニン受容体の1種が全身に分布しており解毒作用に関与することからメラトニンは20分程度の半減期物質であるにもかかわらず、中毒症状を呈したとの推論でした。
 ロゼレムという商品名で知られるラメルテオンの開発秘話を聞くことができました。口演中でも何度も議論されたのですが、即効性がないため体内時計の調整というすばらしい作用機序のわりには患者さんに受け入れられない側面があります。

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