2016年12月4日日曜日

運動療法

 生活習慣病の治療においては、薬物療法に勝るとも劣らないのが、食事療法と運動療法です。今日は運動療法について少し考えてみたいと思います。
 先日、医師会で産業医の講習会があり、そのテーマが運動処方でした。運動処方とは、個人の身体状況や目的等に応じ、安全で効果的な運動内容を明らかにすることです。ちなみに、私は日医認定産業医なのですが、まったく産業医などはしたことがありません。
 ハードに運動すればよいというものではなく、50%運動強度が推奨されています。50%運動強度では、血圧・脈拍が危険なほど上昇せず、心筋虚血が起こりにくいため安全性が高く、心仕事量が十分に大きいため循環機能の向上が望め、息が切れないため長時間持続可能で、脂質燃焼が大きいためメタボ対策に効果が大きいと考えられています。
 50%運動強度を知る方法として、カルボネンの式があります。
 カルボネンの式={(220-年齢)-安静時心拍数}×0.5+安静時心拍数
 ここで、220-年齢=最大心拍数、(220-年齢)-安静時HR=Heart Rate Reserve(HRR)を意味します。
 私の場合、年齢;56、安静時HR;59なので、カルボネンの式では111.5と算出されます。つまり、運動中に112/分の心拍数を維持すればよいことになります。
 また、主観的運動強度というものもよく使われるようです。Borg Scaleというもので、7:非常に楽である、9:かなり楽である、11:楽である、13:ややきつい、15:きつい、17:かなりきつい、19:非常にきついなど、6~20で主観的に決めるものです。これは酸素摂取量、心拍数、換気量、血中乳酸濃度などと高い相関関係にあり、10倍すると20歳の若年健常者の心拍数に相当します。

 以上が産業医の研修会で学んだことですが、これをすべて高血圧や糖尿病などの生活習慣病の全ての方にお勧めするわけにはいきません。50歳くらいまでの若い方ならば問題ないのですが、それ以上の方には、あまり心拍数などにこだわらずに、ニコニコペースでウォーキングすることをお勧めします。
 ”過ぎたるは及ばざるがごとし” とはよく言ったものですが、あまりストイックに頑張りすぎて、膝や腰を痛めると、長らく運動できないという憂き目にあうことも時に耳にします。
 私もここ4-5年健康増進を目指して、日曜祭日には努めてゴルフをするようにしています。スコアを競うスポーツなので、下手ながら結構楽しんでいます。楽しみながらできるスポーツを見つけるのも重要なような気がします。

畑間内科クリニック

0 件のコメント: