ひさしびりの更新です。今夜は福岡心臓疾患治療談話会に参加しました。大動脈弁狭窄症(以下ASと略す)がテーマでした。以前はリウマチ性の心臓弁膜症が多かったのですが、高齢化に伴い、動脈硬化性の石灰化病変などの変性が原因と考えられる心臓弁膜症、とりわけASが増加しています。ASの予後は厳しく、狭心症出現から5年、失神出現から3年、心不全出現から2年で死亡といわれています。そして、明記しなければならないのは、薬物療法は予後を改善しないということです。
診断については、心エコーで大動脈弁口面積(AVA)<1.0cm2、大動脈弁圧較差(Pmean)>40mmHg、大動脈弁最大血流速度(Vmax)>4m/sが重症例と考えられます。超重症例はAVA<0.75cm2、Pmean>50mmHg、Vmax>4.5m/s、女性、体表面積<1.5m2、左室肥大、BNP高値などです。
治療は外科的な大動脈弁置換術(AVR)、経カテーテル的大動脈弁植え込み術(TAVI:trans-catheter aortic valve implantationまたはTAVR:trans-catheter aortic valve replacement)、バルーン大動脈弁形成術などがあります。高齢や冠動脈疾患の合併やCOPDなどの肺疾患合併などの合併疾患がない場合はAVR単独の場合は手術死亡率が2%台と低いことから、AVRを基本と考えるべきです。AVRの場合、人工弁として生体弁と機械弁がありますが、65歳以上であれば、生体弁が推奨されています。それは、出血合併症が少ないことと高齢者ほど耐久性がよいことによります。ただし、生体弁は15年で再手術を検討せねばなりません。
low-flow, low-gradient ASの話題などもありましたが、これはまたの機会にしておきます。勉強になりました。
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