今夜は糖尿病の講演会に行ってきました。東京医大の小田原教授が講師でした。DPP-4阻害薬を中心としたものでした。糖尿病の基本病態として膵臓のβ細胞から分泌されるインスリンの分泌不足はよく知られていますが、最近膵臓のα細胞から分泌されるグルカゴンの過剰分泌が注目されています。
インクレチン関連薬として注射薬のGLP-1と内服薬のDPP-4阻害薬が知られており、これらは膵臓のβ細胞の保護作用に加えて、抗動脈硬化作用、腎保護作用、脳保護作用などの臓器保護作用が指摘されるようになっています。さらに、透析患者に使えるDPP-4阻害薬としてエクアとトラゼンタが知られています。
2007年にはわが国の糖尿病患者は890万人、糖尿病予備軍は1320万人で合計2210万人と指摘されています。糖尿病の合併症として、糖尿病性細小血管症である腎症、網膜症、神経症と糖尿病性大血管症として冠動脈疾患、脳血管障害、末梢血管障害があります。また、1998年以来血液透析の原因疾患の第一位は糖尿病です。
糖尿病では心血管イベント発症リスクは高くなるため、寿命が健常者より15年短くなるといわれています。日本人の糖尿病患者では、男性で77.6歳から68歳へ短くなり、女性では84.6歳から71.6歳へ短くなります。つまり、日本人の糖尿病患者において、男性で10年、女性で13年短くなるといわれています。
心筋梗塞を起こした患者においても血糖が高いほど、死亡率が上がることが知られています。UKPDSというイギリスで行われた糖尿病の臨床研究においても強化療法を行ったほうが、死亡リスクが低下することが証明されました。HbA1cを0.9%下げた群とそうでない群をみると、1997年時点で細小血管症-25%、心筋梗塞-16%、死亡-6%であった。その10年の2007年時点でもその傾向は継続して、細小血管症-24%、心筋梗塞-15%、死亡-13%と治療終了10年たった後でもほぼ同じ結果が得られました。これがよく引用される”遺産効果”です。
面白く拝聴していたのですが、ちょっと電話が入り、席をはずさなければならなくなり、最後の商品説明のところで戻ってきたため、その後の話が聞けずじまいでした。少し残念でした。
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