2014年1月17日金曜日

動脈硬化と低用量アスピリンの消化管粘膜障害

 今夜も少し勉強してきました。
 まずは低用量アスピリン(LDA)は脳血管障害や虚血性心臓病などの2次予防によく使用され、その有効性が証明されています。しかし、同時に消化管粘膜障害を惹起して消化管出血を併発することがあります。この種の病変は、症状に乏しく、LDAの用量に依存せず、ピロリ菌保菌者でより生じやすいことが知られています。そして、消化管出血を生じれば、患者の生命予後も悪化させることが知られています。この病態に対する予防として、プロトンポンプインヒビター(PPI)が有効とのことです。具体的にいえば、ネキシウム20㎎か、タケプロン15㎎の使用です。PPIの長期投与では、collagenous colitisによる下痢などの副作用も知られているのですが、比較的まれなのでベネフィットのほうが多いと言えるようです。しかし、LDA使用者のすべてにPPIを使用するわけにはいきません。潰瘍既往歴のある患者と高齢者にはPPIをLDAに併用したほうが良いようです。
 次に動脈硬化です。動脈硬化の本態は血管炎で、血管障害に対する反応が炎症と考えられているということでした。それゆえ、微量のCRP上昇は血管炎を示唆して、動脈硬化が進行中であることを示しているのかもしれません。慢性扁桃炎、副鼻腔炎、歯周病、膠原病などの慢性炎症は動脈硬化の危険因子と考えられています。薬剤でいえば、スタチンやアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)はCRPを低下させて微小炎症を減少させることが知られています。
 インフルエンザの流行が始まっていますが、インフルエンザ流行時は心筋梗塞が増えるそうです。ウイルスがプラーク周辺にもやってきて炎症を起こすのかもしれません。興味深いですね。
 血管狭窄は内膜肥厚を起こす内膜の病気であり、糖尿病が危険因子です。一方、動脈瘤や血管拡張は平滑筋の壊死(アポトーシス)で生じる中膜の病気と考えられており、喫煙が危険因子と思われます。
 最近話題の大気汚染物質との関係ですが、PM2.5とはParticulate Matter 2.5の略で、粒子径2.5μmで50%の捕集効率をもつフィルターを通る微粒子のことだそうです。黄砂がアテローム塞栓性脳梗塞発症や急性心筋梗塞発症と関連しているというデータがあるそうです。また、PM2.5が循環器疾患の死亡リスクを上昇すると考えられているようです。
 次に薬剤についてですが、スタチンによる脂質管理は、LDL-C 100㎎/dl未満(ハイリスク例では70㎎/dl未満)、TGが200㎎/dl以上の時はnon-HDL-C 130mg/dl未満(ハイリスク例では100㎎/dl未満)が推奨されています。体重管理はBMI 18.5-24.9を維持すること、運動は毎日30-60分を行うことなど厳しい目標が掲げられています。運動に関しては筋肉を内分泌器官とみなして、myokineという筋肉から出るサイトカインが多臓器とcross-talkすると考えられているそうです。
 それ以外にも興味深い話は合ったのですが、今日はこれくらいにしておきます。ちょっと疲れました・・・。

畑間内科クリニックの携帯HP

畑間内科クリニックのHP

0 件のコメント: