今週の月曜日に勉強してきたことを書きます。
我々が処方する薬にEPAとEPA/DHAの2種類があります。一方は持田製薬のエパデールという商品で、高純度のEPAが売りで、発売24年になる薬剤です。他方が1年前に武田薬品から出されたロトリガというEPA/DHA両方含んだ薬剤です。ともに高脂血症の治療薬なのですが、動脈硬化や不整脈、認知症など多彩な作用が研究されています。
この日はエパデールの勉強会でしたから、どうしてもエパデールがよくて、対抗品が劣るという論調が多かったです。特定の商品をPRする勉強会の宿命なのですが、どうしても高純度EPAがよいのだという擦り込みになります。
いくつか面白かったトピックをあげると、エパデールでrho kinaseを介した冠動脈攣縮を改善できた症例や、ω-3酸エチルはEPA/DHAの混合なので純化されておらず、LDL-コレステロールを30%ほど上昇させることがある点、高純度EPAには有機水銀が含まれる可能性が低い点などの話がありました。
私が、個人的にもっとも印象深かったのは、n-3脂肪酸には心血管イベントの1次予防効果も2次予防効果も明らかでないということがわかってきたようです。この理由は同時に使用される高コレステロール血症治療薬のスタチンの効果でn-3脂肪酸の効果が打ち消されるというものです。
さらに、ORIGIN,OMEGA,Risk nad Prevention Studyではω-3酸エチル(ロトリガ)の有用性が証明されなかったということです。
なぜ、n-3不飽和脂肪酸でもEPAがDHAより勝っているかという機序についてですが、アラキドン酸(AA)が血管の細胞膜に存在すれば、炎症性サイトカインが活性化されるのですが、AAがEPAに置き換わればその活性が起こらず、血管内皮機能も改善されるとのことでした。また、プラークの安定化作用もあるということです。このAAに対する置換がDHAには起こせないので、逆に血管内皮機能を悪化させるとのことでした。
以上の点は、よく検討しなければならないと思いました。つまり、反対の意見やデータがあるのであれば、それも俎上にのせて検討しなければフェアとは言えないと思います。製薬会社のいうようにしか物が見れないでは困ります。我々は常に批判的な目を持っていなければ、単に薬屋さんに踊らされる医者になってしまいます。日々の臨床で統計がとれるほど多くの患者の治療をしているわけではないのですが、一例一例考えながら診療をすることがその答えを見つける近道なのかもしれませんね・・・。
個人的には、エパデールもロトリガも中性脂肪を下げる力はマイルドであまり多くを期待していません。ただ、EPAにもEPA/DHAにも成分にはポテンシャルを感じているので、今後も使用すると思います。
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