昨夜は久しぶりに講演会に参加しました。以前はよく参加していたのですが、どうしても製薬会社共催のものが多く、自社製品に関連した情報に限られる感じがあって、本当に自分に必要な情報ではないという気がしてきて、参加回数が自然と減ってきました。
その分ゴルフの練習をしたり、スポーツクラブで走ったり泳いだりする回数が増えました。_(_^_)_
ここ1年弱の間にSGLT2阻害薬と呼ばれる糖尿病の新薬が数種類市場に導入されてきました。昨夜はその1つであるルセフィという商品に関連したものです。SGLT2阻害薬に関する講演会に出席するのはこれが初めてです。
SGLT2阻害薬は大雑把にいって腎臓でのグルコース再吸収を抑制して尿中にグルコースを喪失させることで血糖の低下を図ろうとする薬です。とても意外だったのは、腎臓での糖代謝、とりわけ糖新生や解糖系、糖のろ過や再吸収についてはいまだに一定の結論に至らず、議論が多くなされており、というより議論が停滞しているというほうが正確かもしれませんが、新たな研究がなされていないという感じなようです。
少なくとも腎皮質の近位尿細管では糖新生がなされて、腎髄質の遠位尿細管では解糖がなされていると考えられています。髄質では嫌気的な環境で濃度勾配を形成して再吸収を行うために多くのATPを必要とするためなようです。
腎臓でのグルコースの動きは、腎糸球体に1日1500Lの血液が流入して、150L/日の原尿が
形成され、その中のほぼすべてのグルコースが再吸収されて(血糖が100mg/dlとすると150gのグルコース)、尿中グルコース排泄はほぼゼロになります。
尿細管細胞の尿細管腔側にSGLT1/2がNa勾配を使って能動輸送を行い、血管側にGLUT2などがグルコース勾配に従って輸送しています。
SGLTはいくつか分離同定されているのですが、ここで重要なのはSGLT1とSGLT2です。SGLT2は、近位尿細管のS1セグメントに存在して(より糸球体に近い側)グルコース再吸収の90%を担うのですが、低親和性で50%飽和です。SGLT1は近位尿細管のS2/3セグメントにあり、残りの10%のグルコースを高親和性で15%飽和で完全に行うのです。
健常人においてはろ過されたグルコースが180g/日とすれば、SGLT2で160g/日のグルコース再吸収が50%飽和でなされ、SGLT1により20g/日のグルコースが15%飽和で再吸収されるというわけです。糖尿病状態では血糖が高い分ろ過されるグルコースも多くなり、またSGLT2が増加するため、360g/日のグルコースをSGLT2で300g/日のグルコースを50%飽和で再吸収して、残りの60g/日のグルコースを45%飽和で再吸収するとシュミレーションできます。
腎性糖尿という疾患があるのですが、これはSGLT2遺伝子変異で、尿糖が出るものの血糖は正常で、低血糖や体液量減少を伴うことは極めてまれです。
SGLT2阻害薬でもSGLT1で代償されるため、低血糖は生じないと考えられています。
健康成人でSGLT2阻害薬を使用すれば、180g/日の原尿に対してSGLT2でのグルコース再吸収はゼロになり、SGLT1で100%飽和で130g/日再吸収されて、尿中には50g/日のグルコースが排泄されることになります。糖尿病患者でSGLT2阻害薬を使用すれば、360g/日の原尿に対して発現の増加したSGLT2を2/3ブロックしたとして100g/日再吸収されて、SGLT1で100%飽和で130g/日再吸収されて、尿中に130g/日のグルコースが排泄されると推定されます。この場合、80g/日×4kcal/g
=320kcal/日のカロリー減少になるはずです。それにしては、体重減少は2-3kgでHbA1c低下はせいぜい1%程度でマイルドな効果しか発揮できない薬ですね。
SGLT2阻害薬ではインスリン抵抗性の改善が示唆されており、利尿剤のNa排泄効果と異なり尿糖排泄は1日中持続すると考えられています。ただし、腎機能低下例ではGFRが低下するため、SGLT2阻害薬の効果が減弱します。NaClの再吸収に関して、健常時ではSGLT1+SGLT2で65gの食塩再吸収を行うのに対して、SGLT2阻害薬投与時にはSGLT1のみで78gの食塩再吸収を行うと考えられており、尿量増加と相まって尿浸透圧は低下すると考えられています。(ここは少し議論を要するかもしれません)
ここからはルセフィの擦り込みですが、SGLT2/SGLT1選択性が強く、4つの代謝経路があり腎機能低下の影響も受けにくい、尿酸低下作用(URATv1=GLUT9)、尿中Na排泄増加に伴う24時間血圧計におけるnon-dipperパターンの改善などなどの説明がなされました。ここは話半分で聞いておきます。最近ABPM(24時間血圧計)を始めたので、最後の点は評価してみたいと思いました。
いずれにしろ、久しぶりに講演会に参加したので真剣にノートしてしまいました。(笑)
2014年10月9日木曜日
歓送迎会
少し前のことになるのですが、重要なイベントなのでアップしておきます。
9月13日の土曜日にシーホークのすし割烹ともづなで歓送迎会をしました。3年弱パートの医療事務としてがんばってくれた坂本さんの送別と常勤看護師の松永さんと常勤医療事務の坂本さんの歓迎を行いました。
まずは定番の生ビールから開始しました。
少し時間がたっているのですが、おいしかったことだけは覚えています。
量も多すぎずに良かったです。
今日は食べログですね。
初めて職場の食事会でシーホークを使用したのですが、福岡タワーも見ながら食事ができて楽しい時間を過ごせました。 みんなが希望するならば、またおいしいところに行ってみたいです。\(^o^)/
9月13日の土曜日にシーホークのすし割烹ともづなで歓送迎会をしました。3年弱パートの医療事務としてがんばってくれた坂本さんの送別と常勤看護師の松永さんと常勤医療事務の坂本さんの歓迎を行いました。
まずは定番の生ビールから開始しました。
少し時間がたっているのですが、おいしかったことだけは覚えています。
量も多すぎずに良かったです。
今日は食べログですね。
初めて職場の食事会でシーホークを使用したのですが、福岡タワーも見ながら食事ができて楽しい時間を過ごせました。 みんなが希望するならば、またおいしいところに行ってみたいです。\(^o^)/
2014年7月7日月曜日
慢性痛
きょうはめずらしく即日の更新です。今日のテーマは慢性痛です。全成人の22.5%が悩んでいると考えられています。ここで疼痛には侵害受容性痛と神経障害性痛に分けられ、侵害受容性痛とはズキズキするような重苦しい痛みであり、NSAIDsの効果があり、感覚障害を認めないもので、神経障害性痛とはヒリヒリ、ピリピリ、電気が走るような痛みであり、NSAIDsは効果なく、感覚障害を伴います。神経障害性痛は中枢性と末梢性があります。
神経障害性痛の機序として、末梢性感作、中枢性感作および下行性抑制系の抑制などが示唆されています。
トラムセットという薬剤があるのですが、弱オピオイドであるトラマドール37.5mgと中枢性鎮痛剤のアセトアミノフェン325mgの合剤です。トラマドール50mgがほぼモルヒネ10mgに相当するようです。ただし、副作用も60%と多いため、眠気、めまい、便秘、嘔気などを十分に対策を立てておくことが重要です。そのため、ナウゼリン1錠とマグミット2錠とともに眠前1錠から開始して2週間ずつ漸増して痛みがコントロールされていくまで増量していくのが良いとされているようです。2週間後に嘔気がなければナウゼリンは中止しても、便秘のコントロールは容易でないためマグミットは自己管理させて継続するほうが良いようです。疼痛改善率は65‐80%だそうです。効果発現も早いが、効果消失も早く、1日3‐4錠を必要とする例が多いようです。自動車を運転される方には眠気が生じるために注意が必要なようですが、使用できないとまでの発言はありませんでした。この点はもう少し自分としては検討したい点です。
最後に薬物療法ですが、侵害受容性痛では①NSAIDs、②トラムセット、トラマール、③モルヒネ、フェンタニルの順で、神経障害性痛では①プレガバリン(リリカ)、②ノイロトロピン、③トラムセット、トラマール、モルヒネの順ということでした。そのほかに、トリプタノールやサインバルタなどの抗うつ薬もリリカの次に眠前使用して有効例があるとのことでした。
リリカは自分でも処方をして何人も有効例を経験しているのですが、トラムセットはまだ処方したことがありません。今日の講演は実際的な注意点が示されて勉強になりました。
畑間内科クリニック
神経障害性痛の機序として、末梢性感作、中枢性感作および下行性抑制系の抑制などが示唆されています。
トラムセットという薬剤があるのですが、弱オピオイドであるトラマドール37.5mgと中枢性鎮痛剤のアセトアミノフェン325mgの合剤です。トラマドール50mgがほぼモルヒネ10mgに相当するようです。ただし、副作用も60%と多いため、眠気、めまい、便秘、嘔気などを十分に対策を立てておくことが重要です。そのため、ナウゼリン1錠とマグミット2錠とともに眠前1錠から開始して2週間ずつ漸増して痛みがコントロールされていくまで増量していくのが良いとされているようです。2週間後に嘔気がなければナウゼリンは中止しても、便秘のコントロールは容易でないためマグミットは自己管理させて継続するほうが良いようです。疼痛改善率は65‐80%だそうです。効果発現も早いが、効果消失も早く、1日3‐4錠を必要とする例が多いようです。自動車を運転される方には眠気が生じるために注意が必要なようですが、使用できないとまでの発言はありませんでした。この点はもう少し自分としては検討したい点です。
最後に薬物療法ですが、侵害受容性痛では①NSAIDs、②トラムセット、トラマール、③モルヒネ、フェンタニルの順で、神経障害性痛では①プレガバリン(リリカ)、②ノイロトロピン、③トラムセット、トラマール、モルヒネの順ということでした。そのほかに、トリプタノールやサインバルタなどの抗うつ薬もリリカの次に眠前使用して有効例があるとのことでした。
リリカは自分でも処方をして何人も有効例を経験しているのですが、トラムセットはまだ処方したことがありません。今日の講演は実際的な注意点が示されて勉強になりました。
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2014年7月4日金曜日
高血圧治療ガイドライン
今年の4月に高血圧学会から2014年の高血圧治療ガイドラインが改定されました。これも4月に勉強させてもらったのですが、更新が遅れました。><;
血圧測定については、家庭血圧を優先させ、原則2回測定して、平均を記録することが推奨されています。最近当院でも施行できるようになったのですが、24時間血圧計(ABPM)の高血圧基準は24時間では130/80mmHg、昼では135/85mmHg、夜では120/70mmHgとされています。ABPMでは白衣高血圧の除外や仮面高血圧の診断ができます。
75歳以上の患者では150/90mmHgをめざし、可能であれば140/90mmHgにするように緩やかな基準になっています。また、糖尿病や蛋白尿を伴う慢性腎臓病(CKD)の場合は、130/80mmHgを目指します。ここで注意すべきはCKDのもう一つの範疇であるeGFRの低下のみで治療基準の設定がないということです。また、6m歩行を完遂できない虚弱(フレイル)高齢者の治療は個別に検討するようになりました。
高齢者高血圧の特徴として、血圧動揺性の増大、ABPMで夜間血圧がnon-dipper型が多い、morning surgeも多いなどが指摘されています。
第一選択の降圧薬から外されたβ-ブロッカーですが、心疾患合併高血圧には使用が勧められています。
病態ごとの推奨降圧薬は、心房細動ではRA系薬剤は推奨がはずれたこと、骨粗鬆症ではCa排泄を低下させるのでサイアザイド系利尿薬が推奨されたこと、誤嚥性肺炎にはACE阻害薬が推奨されたことなどが挙げられます。
ただし、第一選択のARB、ACE阻害薬、Ca拮抗薬、降圧利尿薬を3剤してもコントロールできない場合は、α‐ブロッカー、β-ブロッカー、アルドステロン拮抗薬、中枢性降圧薬などを使用します。
臨床評価として、眼底検査、心電図、心エコー、eGRF、尿蛋白、頚部エコー、ABIなどがあります。
畑間内科クリニックの携帯HP
血圧測定については、家庭血圧を優先させ、原則2回測定して、平均を記録することが推奨されています。最近当院でも施行できるようになったのですが、24時間血圧計(ABPM)の高血圧基準は24時間では130/80mmHg、昼では135/85mmHg、夜では120/70mmHgとされています。ABPMでは白衣高血圧の除外や仮面高血圧の診断ができます。
75歳以上の患者では150/90mmHgをめざし、可能であれば140/90mmHgにするように緩やかな基準になっています。また、糖尿病や蛋白尿を伴う慢性腎臓病(CKD)の場合は、130/80mmHgを目指します。ここで注意すべきはCKDのもう一つの範疇であるeGFRの低下のみで治療基準の設定がないということです。また、6m歩行を完遂できない虚弱(フレイル)高齢者の治療は個別に検討するようになりました。
高齢者高血圧の特徴として、血圧動揺性の増大、ABPMで夜間血圧がnon-dipper型が多い、morning surgeも多いなどが指摘されています。
第一選択の降圧薬から外されたβ-ブロッカーですが、心疾患合併高血圧には使用が勧められています。
病態ごとの推奨降圧薬は、心房細動ではRA系薬剤は推奨がはずれたこと、骨粗鬆症ではCa排泄を低下させるのでサイアザイド系利尿薬が推奨されたこと、誤嚥性肺炎にはACE阻害薬が推奨されたことなどが挙げられます。
ただし、第一選択のARB、ACE阻害薬、Ca拮抗薬、降圧利尿薬を3剤してもコントロールできない場合は、α‐ブロッカー、β-ブロッカー、アルドステロン拮抗薬、中枢性降圧薬などを使用します。
臨床評価として、眼底検査、心電図、心エコー、eGRF、尿蛋白、頚部エコー、ABIなどがあります。
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2014年7月2日水曜日
骨粗しょう症
しばらく更新ができませんでした。だいぶ前、たぶん4月頃に行った講演会の資料が出てきたので、更新しておきます。
骨粗しょう症の患者は全国に1200万人いると考えられており、骨折は寝たきり原因の2位であり、決して侮ることができない疾病です。
骨塩量は20歳ころにピークに達して、40歳過ぎまでそれを維持するのですが、女性の場合、閉経後5-10年で骨塩量が急速に減少して、その後緩やかに低下していくと考えられています。そのため、女性においては骨折転倒が寝たきり原因の1位なのです。
骨は骨吸収と骨形成を活発に行うダイナミックな臓器なのです。骨強度は70%が骨密度(BMD)と30%が骨質(骨代謝、骨梁構造、骨微細構造、骨石灰化)で規定されます。
脆弱性骨折とは、低骨量が原因で軽微な外力によって発生した非外傷性骨折で、脊椎、大腿骨頚部、橈骨遠位部などに生じます。
骨代謝マーカーには骨形成マーカーと骨吸収マーカーがあり、骨形成マーカーとしてはBAPやP1NPがあり、骨吸収マーカーとしてNTx, CTx, DPD, TRACP-5bがあります。その他にucOCが知られています。BAP, P1NPおよびTRACP-5bは腎機能に影響されません。
骨粗しょう症に対する食事指導として、1日当たりカルシウム 800mg、ビタミンD 400-800IU(10-20μg)、ビタミンK 250-300μgが推奨されています。
薬物治療開始時期は、大腿骨や脊椎の脆弱性骨折がある場合は骨塩量にかかわらず治療開始、大腿骨・脊椎以外の脆弱性骨折がある場合は、YAM<80%のとき治療開始、脆弱性骨折がない場合はYAM<70%のとき治療開始します。脆弱性骨折がなく、YAM70~80%のときは骨減少症と呼ばれて、大腿骨近位部骨折の家族歴があるか、FRAX>15%のときに高リスクと考えて治療を開始します。ここでFRAXとは10年以内の骨折リスクをWHOが国ごとに評価作成したものです。
現時点ではこのガイドラインの指標に沿って治療をするしかないわけですが、10年後、20年後に骨粗しょう症を減らすには骨減少症や正常者の閉経後の骨密度の低下をどう防ぐかが重要なような気がします。そうでないと20年後も骨粗しょう症の患者減少は期待できないかもしれません。治療と劣らぬくらい予防が重要である点で生活習慣病と共通点が多く、骨粗しょう症は生活習慣病だとおっしゃる先生もいるほどです。今後解決すべき重要な課題と考えます。
骨粗しょう症の患者は全国に1200万人いると考えられており、骨折は寝たきり原因の2位であり、決して侮ることができない疾病です。
骨塩量は20歳ころにピークに達して、40歳過ぎまでそれを維持するのですが、女性の場合、閉経後5-10年で骨塩量が急速に減少して、その後緩やかに低下していくと考えられています。そのため、女性においては骨折転倒が寝たきり原因の1位なのです。
骨は骨吸収と骨形成を活発に行うダイナミックな臓器なのです。骨強度は70%が骨密度(BMD)と30%が骨質(骨代謝、骨梁構造、骨微細構造、骨石灰化)で規定されます。
脆弱性骨折とは、低骨量が原因で軽微な外力によって発生した非外傷性骨折で、脊椎、大腿骨頚部、橈骨遠位部などに生じます。
骨代謝マーカーには骨形成マーカーと骨吸収マーカーがあり、骨形成マーカーとしてはBAPやP1NPがあり、骨吸収マーカーとしてNTx, CTx, DPD, TRACP-5bがあります。その他にucOCが知られています。BAP, P1NPおよびTRACP-5bは腎機能に影響されません。
骨粗しょう症に対する食事指導として、1日当たりカルシウム 800mg、ビタミンD 400-800IU(10-20μg)、ビタミンK 250-300μgが推奨されています。
薬物治療開始時期は、大腿骨や脊椎の脆弱性骨折がある場合は骨塩量にかかわらず治療開始、大腿骨・脊椎以外の脆弱性骨折がある場合は、YAM<80%のとき治療開始、脆弱性骨折がない場合はYAM<70%のとき治療開始します。脆弱性骨折がなく、YAM70~80%のときは骨減少症と呼ばれて、大腿骨近位部骨折の家族歴があるか、FRAX>15%のときに高リスクと考えて治療を開始します。ここでFRAXとは10年以内の骨折リスクをWHOが国ごとに評価作成したものです。
現時点ではこのガイドラインの指標に沿って治療をするしかないわけですが、10年後、20年後に骨粗しょう症を減らすには骨減少症や正常者の閉経後の骨密度の低下をどう防ぐかが重要なような気がします。そうでないと20年後も骨粗しょう症の患者減少は期待できないかもしれません。治療と劣らぬくらい予防が重要である点で生活習慣病と共通点が多く、骨粗しょう症は生活習慣病だとおっしゃる先生もいるほどです。今後解決すべき重要な課題と考えます。
2014年4月13日日曜日
関節痛
今日は関節痛についてです。腰、肩、骨粗鬆症、痛風などによる関節痛の方は3000万人いると考えられており、手足の関節痛に限っても680万人いるといわれています。この中で膠原病による関節痛は100万人いると推定されています。関節痛の原因は変形性関節症、関節リウマチ(RA)、反応性関節炎、痛風、偽痛風など多岐に及びます。この中に膠原病もあるのですが、自己免疫疾患であり、早期の診断と治療が予後を左右します。RAで70万人、SLEで5万人、Sjogren症候群で5万人などの患者が推定されています。リウマチ性多発筋痛症(PMR)も治療が容易であることを考えれば、忘れてはならない疾患です。
多関節炎の診断は、まず問診、身体所見、検査と進めていきます。問診では、いつ頃からか、症状の持続が6週間以上に及ぶかどうかどうか、急性か、徐々に始まったか、どの関節か、複数関節に及ぶか、対称性か、消化器系や泌尿器系などの先行感染があるか、腫れの有無、朝のこわばり、レイノー症状、皮疹の有無、発熱の有無などが重要です。
身体所見では、視診で腫脹や発赤の有無を肘、手、膝、足の関節について評価します。触診では手のひらをあてて熱感をチェックする、圧痛、腫脹の評価などです。手関節の圧痛は母指と示指で挟むとよいようです。膠原病の皮疹にかゆみを伴うことは稀ですが、強皮症(PSS)と皮膚筋炎(DM)ではかゆみを伴います。膠原病ではさまざまな皮疹が知られています。蝶形紅斑(鼻唇溝を超えない)、ヘリオトロープ、口内炎、強膜炎、円盤状紅斑、ゴットロン徴候、レイノー症状などです。
検査では、血沈、CRP、検血、検尿、抗核抗体、リウマチ反応、抗CCP抗体、胸部や関節のX線撮影などです。未分類関節炎で抗CCP抗体陽性の場合は、RAに進展する可能性が高いことが知られています。抗核抗体は抗ヒトγグロブリン抗体で、染色パターンでhomogenous, speckled, centromere, peripheral, nucleolar, 抗ミトコンドリア抗体(抗細胞質抗体)などがありますが、あまり病的意義は変わらないと考えられており、x80以下は正常と判断します。偽痛風では軟骨にカルシウム沈着が特徴的で、胸部レントゲンでは胸水や心拡大のチェック、関節炎については関節エコーやMRIが重要です。というのも関節リウマチでは早期にX線上異常を認めないからです。Heberden結節では変形性関節症の除外ができますし、DIPには滑膜がないのでRAは生じません。
RAと鑑別を要する疾患としてPMRでは首、肩、腰などのどちらかというと大きい関節を傷害します。RS3PE症候群や腫瘍関連症候群も忘れてはいけません。
MRIは良い検査なのですが、1回に1関節しか検査できないところが難点です。ただ、早期に異常が出やすいこととGdにより造影されます。関節エコーではpower dopplerを使用します。
RAの治療ですが、アスピリン、ステロイド、メソトレキセート(anchor drug)、タクロリムス、生物学的製剤(抗TNF製剤など)などがあります。
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多関節炎の診断は、まず問診、身体所見、検査と進めていきます。問診では、いつ頃からか、症状の持続が6週間以上に及ぶかどうかどうか、急性か、徐々に始まったか、どの関節か、複数関節に及ぶか、対称性か、消化器系や泌尿器系などの先行感染があるか、腫れの有無、朝のこわばり、レイノー症状、皮疹の有無、発熱の有無などが重要です。
身体所見では、視診で腫脹や発赤の有無を肘、手、膝、足の関節について評価します。触診では手のひらをあてて熱感をチェックする、圧痛、腫脹の評価などです。手関節の圧痛は母指と示指で挟むとよいようです。膠原病の皮疹にかゆみを伴うことは稀ですが、強皮症(PSS)と皮膚筋炎(DM)ではかゆみを伴います。膠原病ではさまざまな皮疹が知られています。蝶形紅斑(鼻唇溝を超えない)、ヘリオトロープ、口内炎、強膜炎、円盤状紅斑、ゴットロン徴候、レイノー症状などです。
検査では、血沈、CRP、検血、検尿、抗核抗体、リウマチ反応、抗CCP抗体、胸部や関節のX線撮影などです。未分類関節炎で抗CCP抗体陽性の場合は、RAに進展する可能性が高いことが知られています。抗核抗体は抗ヒトγグロブリン抗体で、染色パターンでhomogenous, speckled, centromere, peripheral, nucleolar, 抗ミトコンドリア抗体(抗細胞質抗体)などがありますが、あまり病的意義は変わらないと考えられており、x80以下は正常と判断します。偽痛風では軟骨にカルシウム沈着が特徴的で、胸部レントゲンでは胸水や心拡大のチェック、関節炎については関節エコーやMRIが重要です。というのも関節リウマチでは早期にX線上異常を認めないからです。Heberden結節では変形性関節症の除外ができますし、DIPには滑膜がないのでRAは生じません。
RAと鑑別を要する疾患としてPMRでは首、肩、腰などのどちらかというと大きい関節を傷害します。RS3PE症候群や腫瘍関連症候群も忘れてはいけません。
MRIは良い検査なのですが、1回に1関節しか検査できないところが難点です。ただ、早期に異常が出やすいこととGdにより造影されます。関節エコーではpower dopplerを使用します。
RAの治療ですが、アスピリン、ステロイド、メソトレキセート(anchor drug)、タクロリムス、生物学的製剤(抗TNF製剤など)などがあります。
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2014年4月5日土曜日
HDLの新たな知見
だいぶ前になるのですが、とても勉強になったのでアップしておきます。3/26に阪大の山下静也教授のお話を聞いてきました。リポ蛋白群は変性LDLになり、スカベンジャー受容体を介して泡沫細胞に取り込まれます。LDLはアポB100の修飾を受けて、酸化LDLになります。この酸化LDLには以下のようなさまざまな作用があります。
①血管作動物質の分泌、②血管平滑筋の増殖、③マクロファージの泡沫化と増殖、④内皮細胞における接着分子発現と一酸化窒素生成調節、⑤白血球遊走調節、⑥過酸化脂質の生成、リン脂質の増加
LDLは過酸化脂質生成反応とアポBの変性により酸化LDLになることにより、本来のLDL受容体に結合するのではなく、スカベンジャー受容体への結合やCD36への結合に至ります。
ここでHDLの形成についてみてみると、アポA-Ⅰは8割が肝で合成され、2割は小腸から吸収されます。そして、円盤状のDiscoidal HDLになり、肝のABCA1の働きでABCAになり、さらにLCATの働きでsmall HDLにになります。small HDLはLCATの働きでlarge HDLになり、CEと結合してSR-B1になることもあるのですが、大半はアポB含有リポ蛋白(VLDL, IDL, LDL)に変化して肝のLDL受容体に結合します。この辺りは複雑で、間違いがあるかもしれません。
低HDL-C血症は単独でも動脈硬化を悪化させることが知られています。低HDL-C血症の原因として遺伝性と2次性があります。2次性低HDL-C血症の原因として、①喫煙(LCATを低下させます)、②肥満、メタボ、③運動不足、④高TG血症、⑤肝硬変末期、⑥アンドロゲン、プロゲステロン、⑦降圧薬(β-ブロッカー、サイアザイド)、⑧プロブコールなどが挙げられています。
そもそもHDLには多彩な機能があることが知られています。
①コレステロール引き抜き能と逆転送系、②抗感染活性、③抗血栓活性、④抗酸化作用、⑤抗DM作用(ABCA1を介したインスリン分泌亢進による)、⑥抗アポトーシス活性、⑦血管内皮細胞修復、⑧血管拡張活性、⑨抗炎症作用(ICAMやVCAMなどの接着因子の促進や抑制)
なぜこれほどまでに生理活性が多いかというと、HDLには多くの蛋白や酵素が結合しているためのようです。
Pon1、A-Ⅰ、A-Ⅱ、LCAT、CETP、PAF-AHなどを含んだfunctional HDLが、sPLA2、SAAなども含んだdysfunctional HDLに変化することがあるようです。冠動脈疾患の患者のHDLは内皮細胞のNO産生を抑制することが知られており、これはdysfunctional HDLの例といえます。HDLの補充はNO産生を惹起して内皮機能を改善します。これはfunctional HDLの例といえます。
また、proinflammatory HDLとantiinflammatory HDLがあり、LDLの酸化、血管の炎症、コレステロールの逆転送にそれぞれ反対に作用します。コレステロールの引き抜き能がよければ、CADのリスクは下がると考えられます。
創薬の一つとして、CETP inhibitorがあるのですが、HDL-Cが上昇します。HDL-Cを上昇させるのは薬だけではありません。生活習慣の改善です。①有酸素運動 5-10%、②禁煙 5-10%、③1㎏の減量 0.35mg/dl/kgBW、④適量のアルコール 5-15%、⑤ω-3脂肪酸 0-5%上昇させることが知られています。薬剤では①フィブラート 5-25%、②ナイアシン 10-30%、③スタチン 3-12%、④エゼチニブ 3-7%上昇すると考えられています。
HDL-Cは俗に善玉コレステロールと呼ばれていますが、HDL-Cが90mg/dlをこえると、心電図上虚血性変化が増えると考えられているそうです。
フラミンガム研究でもCETPが低いと、血管病が増えることが示されています。先に述べたCEPT inhibitorの開発が行われているのですが、そのいくつかは中止に至っています。CEPT阻害によっては粥状硬化は予防できず、obese large HDL=dysfunctional HDLが増加するということです。
私も使用しているL/H比については、CETP欠損症やCETP阻害薬でも低下しますが、これらの状態では動脈硬化を防御できず、probucol(ロレルコ、シンレスタール)ではLDL/HDL比はかなり増加しますが、強い抗動脈硬化作用があります。つまり、L/H比は意味がなく、それぞれの絶対値が重要とのことです。
probucol(ロレルコ、シンレスタール)によって、①黄色腫が減る、②抗酸化作用がある、③LDL-Cが10%低下する、④HDL-Cは大いに低下することが知られています。私自身今までに使用経験がないような薬です。その機序は、reverse cholesterol transportが上昇して、HDL機能の改善があるようです。家族性高コレステロール血症においてprobucolがCADイベントが減少することが知られています。ある研究ではprobucolによりCAD患者の死亡率が55%も低下したことが示されています。
probucolには①HDLをLDLに変化させるCETPが上昇してlipid poorなスリムなHDLになる、②肝でのSR-B1が増加してコレステロールが肝に取り込まれる、③抗酸化作用を認めるなどの作用が証明されているようです。
本当に目からうろこで勉強になりました。スポンサーはスタチンの会社でしたが、自社製品に関係ないがとても重要な情報をもたらしてくれるこのような会を催してくれたアストラゼネカ/塩野義には好感を持てました。
ついでに、4/1は家族の一部が映画に行くということで、診療後に慌ててついていきました。”永遠のゼロ”を博多駅の映画館で見ました。原作は読んでいたので、映画を見る予定はなかったのですが、映画の日でしたし、気分転換になるのかなと思って行ってきました。映画館に邦画を見に行くことはほとんどないのですが、このテーマは、日本人にしか扱えないテーマですし、ストーリーは知っていても泣ける良い作品でした。主人公は、その当時多くいたであろう誠実に生きた素晴らしい日本人の一人です。
最近、日本人であることに誇りを感じるようになりました。若いころには感じられなかった感情です。年をとったためでしょうか・・・><!?
畑間内科クリニックの携帯HP
畑間内科クリニックのHP
①血管作動物質の分泌、②血管平滑筋の増殖、③マクロファージの泡沫化と増殖、④内皮細胞における接着分子発現と一酸化窒素生成調節、⑤白血球遊走調節、⑥過酸化脂質の生成、リン脂質の増加
LDLは過酸化脂質生成反応とアポBの変性により酸化LDLになることにより、本来のLDL受容体に結合するのではなく、スカベンジャー受容体への結合やCD36への結合に至ります。
ここでHDLの形成についてみてみると、アポA-Ⅰは8割が肝で合成され、2割は小腸から吸収されます。そして、円盤状のDiscoidal HDLになり、肝のABCA1の働きでABCAになり、さらにLCATの働きでsmall HDLにになります。small HDLはLCATの働きでlarge HDLになり、CEと結合してSR-B1になることもあるのですが、大半はアポB含有リポ蛋白(VLDL, IDL, LDL)に変化して肝のLDL受容体に結合します。この辺りは複雑で、間違いがあるかもしれません。
低HDL-C血症は単独でも動脈硬化を悪化させることが知られています。低HDL-C血症の原因として遺伝性と2次性があります。2次性低HDL-C血症の原因として、①喫煙(LCATを低下させます)、②肥満、メタボ、③運動不足、④高TG血症、⑤肝硬変末期、⑥アンドロゲン、プロゲステロン、⑦降圧薬(β-ブロッカー、サイアザイド)、⑧プロブコールなどが挙げられています。
そもそもHDLには多彩な機能があることが知られています。
①コレステロール引き抜き能と逆転送系、②抗感染活性、③抗血栓活性、④抗酸化作用、⑤抗DM作用(ABCA1を介したインスリン分泌亢進による)、⑥抗アポトーシス活性、⑦血管内皮細胞修復、⑧血管拡張活性、⑨抗炎症作用(ICAMやVCAMなどの接着因子の促進や抑制)
なぜこれほどまでに生理活性が多いかというと、HDLには多くの蛋白や酵素が結合しているためのようです。
Pon1、A-Ⅰ、A-Ⅱ、LCAT、CETP、PAF-AHなどを含んだfunctional HDLが、sPLA2、SAAなども含んだdysfunctional HDLに変化することがあるようです。冠動脈疾患の患者のHDLは内皮細胞のNO産生を抑制することが知られており、これはdysfunctional HDLの例といえます。HDLの補充はNO産生を惹起して内皮機能を改善します。これはfunctional HDLの例といえます。
また、proinflammatory HDLとantiinflammatory HDLがあり、LDLの酸化、血管の炎症、コレステロールの逆転送にそれぞれ反対に作用します。コレステロールの引き抜き能がよければ、CADのリスクは下がると考えられます。
創薬の一つとして、CETP inhibitorがあるのですが、HDL-Cが上昇します。HDL-Cを上昇させるのは薬だけではありません。生活習慣の改善です。①有酸素運動 5-10%、②禁煙 5-10%、③1㎏の減量 0.35mg/dl/kgBW、④適量のアルコール 5-15%、⑤ω-3脂肪酸 0-5%上昇させることが知られています。薬剤では①フィブラート 5-25%、②ナイアシン 10-30%、③スタチン 3-12%、④エゼチニブ 3-7%上昇すると考えられています。
HDL-Cは俗に善玉コレステロールと呼ばれていますが、HDL-Cが90mg/dlをこえると、心電図上虚血性変化が増えると考えられているそうです。
フラミンガム研究でもCETPが低いと、血管病が増えることが示されています。先に述べたCEPT inhibitorの開発が行われているのですが、そのいくつかは中止に至っています。CEPT阻害によっては粥状硬化は予防できず、obese large HDL=dysfunctional HDLが増加するということです。
私も使用しているL/H比については、CETP欠損症やCETP阻害薬でも低下しますが、これらの状態では動脈硬化を防御できず、probucol(ロレルコ、シンレスタール)ではLDL/HDL比はかなり増加しますが、強い抗動脈硬化作用があります。つまり、L/H比は意味がなく、それぞれの絶対値が重要とのことです。
probucol(ロレルコ、シンレスタール)によって、①黄色腫が減る、②抗酸化作用がある、③LDL-Cが10%低下する、④HDL-Cは大いに低下することが知られています。私自身今までに使用経験がないような薬です。その機序は、reverse cholesterol transportが上昇して、HDL機能の改善があるようです。家族性高コレステロール血症においてprobucolがCADイベントが減少することが知られています。ある研究ではprobucolによりCAD患者の死亡率が55%も低下したことが示されています。
probucolには①HDLをLDLに変化させるCETPが上昇してlipid poorなスリムなHDLになる、②肝でのSR-B1が増加してコレステロールが肝に取り込まれる、③抗酸化作用を認めるなどの作用が証明されているようです。
本当に目からうろこで勉強になりました。スポンサーはスタチンの会社でしたが、自社製品に関係ないがとても重要な情報をもたらしてくれるこのような会を催してくれたアストラゼネカ/塩野義には好感を持てました。
ついでに、4/1は家族の一部が映画に行くということで、診療後に慌ててついていきました。”永遠のゼロ”を博多駅の映画館で見ました。原作は読んでいたので、映画を見る予定はなかったのですが、映画の日でしたし、気分転換になるのかなと思って行ってきました。映画館に邦画を見に行くことはほとんどないのですが、このテーマは、日本人にしか扱えないテーマですし、ストーリーは知っていても泣ける良い作品でした。主人公は、その当時多くいたであろう誠実に生きた素晴らしい日本人の一人です。
最近、日本人であることに誇りを感じるようになりました。若いころには感じられなかった感情です。年をとったためでしょうか・・・><!?
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