2013年11月20日水曜日

骨粗鬆症とPTH

 今夜は骨粗鬆症と副甲状腺ホルモン(PTH)の勉強をしてきました。骨粗鬆症は推定で1300万人いると推定され、要介護要因の第3位の転倒・骨折の重要な原因です。まさに生活習慣病の一つといっても過言ではないでしょう。骨粗鬆症は年齢により好発部位が違うようです。閉経~60歳前半では橈骨遠位端、60歳台~70歳半ばでは椎体の圧迫骨折、それ以上では大腿骨近位部骨折です。椎体骨折の2/3では骨折を認識していないとのことです。
 骨粗鬆症の診断は脆弱性骨折がある場合は骨塩量がYAM80%未満であること、また、脆弱性骨折がない場合は骨塩量がYAM70%未満である場合と定義されています。ただし、最近では骨密度が必ずしも骨折リスクを反映しないことから、骨量低下ではなく骨強度低下が重要であると指摘されています。
 男女ともに性腺機能低下に伴い骨吸収が亢進して、加齢に伴う酸化ストレスの上昇でコラーゲンAGE架橋と骨細胞アポトーシス増加に伴い骨形成が低下して結果的に骨強度が低下します。この骨強度の低下は骨質の劣化を意味するのですが、骨密度のように簡単には測定できません。そのため、骨折リスク因子の集積として相似することになります。
 骨密度と関係なく骨折しやすくなる因子として、年齢、低体重、喫煙、飲酒、大腿骨近位部骨折の家族歴、関節リウマチなどの膠原病、副腎皮質ステロイドなどです。これらをわかりやすく定量化して今後10年間に生じる骨折の確率を表したのが最近当院でも行っているFRAX(Fracture  Risk Assessment Tool)です。この指標の優れているところは骨密度を知ることなく骨折のリスクを知ることができることです。
 ステロイド性骨粗鬆症は3つの点で発症します。①骨芽細胞の減少、骨細胞のアポトーシス、②性ホルモンの低下、③体内カルシウムの欠乏:腸管Caの吸収低下、腎尿細管Ca再吸収低下。プレドニン換算で20㎎以上ではリスクが上昇するといわれています。ステロイド性骨粗鬆症の特徴は骨密度の低下が少しであっても骨折リスクが上昇する点です。
 ここで本題に入ります。PTHは原発性および続発性副甲状腺機能亢進症で知られるように、持続的に血中濃度が上昇していれば、骨はもろくなります。ところが、実験的に間欠的にPTHを投与すると骨形成が亢進することが見い出されました。世の中には色々なことを考え、トライする人がいるものだと感心させられます。つまり、PTHの間欠投与では破骨細胞は増加しないが骨芽細胞は増加するのです。そのため、骨新生にシフトするわけです。72週の投与で椎体圧迫骨折は78%減少させ、非椎体骨折を含む全骨折を63%減少させたのです。これは驚くべき数字と思います。
 当院でも一定以上の骨粗鬆症の患者さんにPTH製剤を使用しています。骨粗鬆症による骨折で寝たきりなどにならないように治療成績が上がることを願っています。

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