2014年2月20日木曜日

肺がんセミナー

 昨夜は九州がんセンターが行っている肺がんのセミナーに参加しました。この会にはできるだけ参加するようにしています。というのが、胸部レントゲンの読影を実際に行い、後で答え合わせをするという面白さがあります。出題は実際に九州がんセンターに紹介されて、最終的に治療を行った症例です。20問出題されたのですが、2/5、3/5、5/5、5/5の正解で15/20で75%の正解率でした。
実際に正解の場所を示されてもにわかに納得できない問題もあります。かなり、正常との鑑別は難しいものもあります。ポイントとして、左右差に着目すること、本来あるはずのラインの有無に注意することが重要なようです。胸部レントゲンで異常を発見できるかどうかでその後が大きく変わることを考えれば、もっともっと研鑽をつまねばなりません。

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2014年2月12日水曜日

低ナトリウム血症とSIADH

 今夜は”診断力を磨く会”に参加してきました。この会は、学生時代のポリクリを彷彿とさせるようなユニークな会です。
 診断に迷った時にVINDICATEという言葉があるそうです。
V: vascular 血管性
I: inflammatory 炎症性
N: neoplastic 腫瘍性
D: degenerative 変性疾患の
I: infectious 感染性
C: congenital 先天性
A: autoimmune/allergic 自己免疫の/アレルギー性
T: traumatic 外傷性
E: endocrine/electrolyte disorder 内分泌性/電解質異常
 覚えておこうと思います。
 1例の症例を鑑別診断を考えながら、必要な検査などをみんなで考えていくというものです。
 SIADHによる低ナトリウム血症の症例提示でした。
 SIADHは中枢神経性、肺疾患、ADH異所性産生腫瘍および薬剤性などがあります。
 ここで印象に残ったのは、SIADHに酷似するが脱水を呈する点で異なる”高齢者におけるミネラルコルチコイド反応性低ナトリウム血症:mineralcorticoido responsive hyponatremia in the elderly: MRHE”という疾患概念です。みなさんよく勉強されていますね。啓発されます!!!もっと頑張らなければ・・・。
 それとこの会を後援しているのはMeij Seikaファルマなのですが、自社商品と直接関係しないようなこの会をサポートしているのはすごいなあと感じました。直接的関係の会が多いですからね。
 今年は講演会への参加を絞り、自分で本を読む時間を増やそうと思います。


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2014年2月9日日曜日

好酸球性副鼻腔炎と気管支喘息

 今日は今週の水曜日、2月5日に勉強させてもらったことを書こうと思います。
 副鼻腔炎(蓄膿症)にはその9割を占める好中球性副鼻腔炎とその1割の好酸球性副鼻腔炎があります。好中球性は抗生剤で治療し、比較的ポピュラーな病気といえます。一方、好酸球性副鼻腔炎は鼻茸を合併することが多く、嗅覚障害も伴いやすい。鼻汁中には好酸球が多く、アレルギー性鼻炎や気管支喘息の合併も多いです。組織所見は好酸球の浸潤が認められ、治療としてステロイドが有効です。血中好酸球も6%以上となることが多いようです。画像診断としてCTが推奨されて、副鼻腔内の病変の広がりを確認します。篩骨洞から発生して上顎洞に広がることが多いようですが、原因は明らかでないのですが、前頭洞や蝶形骨洞にはあまり見られないようです。
 治療としては、まず篩骨洞と上顎洞の内視鏡下内膜除去術を行った後に、ステロイド(セレスタミン1錠、プレドニン3錠またはリンデロン)やステロイド剤の点鼻やロイコトリエン拮抗薬(LTRA、シングレアまたはオノン)を投与して経過を見るようです。原因となるアレルゲンは特定されないことが多いようです。
 
 次は、喘息です。咳は一般的に医療機関を受診する理由のトップ3にはいるほど多くの方にとって煩わしい症状と思われます。咳嗽の発生機序は正確には解明されていないのですが、気管支上皮と平滑筋から迷走神経を介して咳中枢に伝えられます。
 分類ですが、痰を伴うか否かで湿性咳嗽と乾性咳嗽に分けられます。基本的に湿性咳嗽には去痰薬で治療するのが基本です。また、持続期間で3週未満の急性、3週~8週の遷延性、8週以上の慢性に分けられます。慢性咳嗽の場合、抗菌薬の効果はあまり期待できません。
 慢性咳嗽の原因ですが、欧米では後鼻漏、胃食道逆流、咳喘息が多く、他方、日本では、アトピー咳嗽、副鼻腔気管支症候群、咳喘息が多く、若干の相違があります。忘れてはならないのは、ACEIなどによる薬剤性咳嗽や喫煙によるものなどを除外する必要があります。
 咳嗽のポピュラーな原因として、①咳喘息・・・夜間~早朝の増悪、②アトピー咳嗽・・・のどのイガイガ感、季節性があり、アレルギー疾患を伴うことが多い、③副鼻腔気管支症候群・・・膿性痰、④胃食道逆流・・・会話後や食後の咳嗽、PPIが有効、⑤感染後咳嗽などがあります。
 咳喘息は8週以上持続する咳で、喘鳴は伴いません。β-刺激薬やテオフィリン製剤の気管支拡張剤が有効です。また、末梢血や喀痰中の好酸球や呼気NO濃度も診断の助けになります。
 再発予防ですが、咳喘息患者の1/3は1年以内に気管支喘息へ移行することが知られており、吸入ステロイドの継続使用でこの移行を抑制できると考えられています。また、LTRA内服を2冬続ければ、気管支喘息への移行を予防できると考えられています。
 気道リモデリングという気管支平滑筋肥大と粘膜下腺組織肥厚が生じることが知られており、気道収縮がこれを増悪させます。
 感染は喘息死の誘因となることがあります。また、喘息患者の喫煙率は17~35%といわれており、少なくとも半数に喫煙歴があります。
 喘息妊婦と児の喘息発症リスクは1.6倍と考えられており、妊娠前の禁煙が有効と考えられています。
 ライノウイルスは最も多い喘息発作の誘因と考えられています。また、RSウイルスもよく喘息を誘発することが知られており、これらのウイルスはasthmagenic virusと呼ばれています。
 また、マクロライド系抗生剤は喘息発作の軽快と増悪頻度の減少に寄与すると考えられています。

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2014年2月5日水曜日

冠動脈疾患の治療と糖尿病

 昨夜は冠動脈疾患の治療について勉強してきました。
1977年にGruentzigがPTCAを始めたことに冠動脈のカテーテル治療が幕を開けます。その約10年前の1968年にFavalaroによってCABG(冠動脈バイパス手術)は初めて行われました。その後カテーテル治療は1987年からBMS(ステント治療)が始まり、1997年からDES(薬剤溶出性ステント)が導入されています。
 PCI(カテーテル治療)ではCABGに比べて、心血管イベントが多い、つまり患者の長期予後が悪いという事実があります。DESの導入でステント部の再狭窄が減少しましたが、患者の死亡は減少しないということです。その要因として、冠動脈の新規病変の出現と不安定プラークの出現が考えられます。
 また、PCIとCABGの成績の差は、非糖尿病では明らかではないのですが、糖尿病群で差が生じています。LIMA-graft(左内胸動脈)にはあまり動脈硬化性病変が生じないことが知られています。
 待機的にPCIを受けた患者に75gGTT(糖負荷試験)を行うと、その2/3に耐糖能低下が認められますが、その平均HbA1cは5.6%と正常域にあり、積極的な耐糖能障害のスクリーニングと早期の治療介入が重要なようです。食後高血糖はPCI患者の心血管イベントを増加させるようです。
 インスリン抵抗性→高インスリン血症→心血管疾患というスキームが存在します。そのためMET(メトホルミン)やTZD(チアゾリジン)を使用することが推奨されていました。食後高血糖の改善のためにα-GIやDPP-4阻害薬が推奨されているようです。
 PCI全盛の時代ですが、治療成績はまだCABGには及ばないのですね。CABGは当然開胸手術になるため、カテーテル治療が選択されやすいのもなんとなくわかりますが、施術後2年以降の成績に差が出てくるようです。

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2014年2月3日月曜日

高血圧

 今夜は高血圧です。
 いくつかの遺伝子が高血圧関連遺伝子として同定されているようですが、どういった条件でその遺伝子が高血圧を発症させるのかという実際的に興味深いところはまだあまりわかっていないようです。
 高血圧と認知症の関連が指摘される中で、中年期の高血圧は高齢期の認知症やアルツハイマー病(AD)の発症のリスクではあるが、高齢期の高血圧の関与は明らかでないようで、つまり、早期に治療開始したほうがよいということです。ADの特徴的な脳の組織学的変化である老人斑や神経原線維変化も高血圧の方では多いことがわかっています。
 夜間血圧変動パターンとしてdipper(昼間より10-20%下がる)、non-dipper(昼間より10%未満の低下)、riser(昼間より上昇する)及びextreme-dipper(昼間より20%以上低下)に分類されます。
 いくつかの大規模臨床試験が示されて、血圧をより下げたほうがより良い臨床結果になるということは以前より言われなくなった印象です。以前は”The lower, the better"と声高に言われたものです。その中で注意すべきと感じたのは、PATE研究で示された75歳以上では収縮期血圧を120mmHg以下にすると心血管リスクが逆に上昇するというものです。注意せねばなりません!!
 さらに、血圧変動の群間差(visit-to-visit variability)ですが、これが大きいほど心血管リスクが高いことが知られており、臨床的にはとても悩ましい問題です。これについては家庭血圧の測定で補完すべきとのお話でした。
 今春高血圧治療ガイドラインが改定されるのですが、利尿薬、ARB, ACEI, カルシウム拮抗薬のいずれでも降圧レベルが同じならばあまり大きな結果の差は出ないのではないかという気がしています。3剤以上の降圧薬の併用では1剤は利尿剤にするように示されています。また、ARBとACEIの併用は基本的に推奨されていません。個人的には、必要と考えた症例にはそれなりの注意をしながら併用しています。
 目新しいことはなかったのですが、知識の整理になりました。

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