2011年6月14日火曜日

がんペプチドワクチンと膵炎について

 昨日がんペプチドワクチン療法についての講演を聞いてきました。講師は久留米大学の由谷茂先生でした。免疫学の発展の中で1990年頃、がん拒絶ペプチドが同定されて、がんペプチドワクチンが研究されるに至ったようです。がん細胞を比較的選択的に駆除してくれるキラーT細胞を誘導する治療のようです。理論的には魅力ある治療であることは言うまでもありません。ただし現在のところは進行がんですでに外科手術や化学療法、放射線療法をすでに受けている方の余命を数か月延長するというレベルのようです。もちろん著効例もあるでしょうが、多くが100万円以上の自己負担が必要なことを考えれば、直ちに患者さんに勧めることができるか?考えさせられるところです。また厚生労働省が口を酸っぱくして言っている医療における平等を自由診療の中でいかに実現するできるのか?つまり、持てる人はがんペプチドワクチンをすることができるが、その余裕がない人は諦めるしかないのか?などと議論すべき問題も多いように感じました。
 また、本日は膵炎の診断と治療について勉強してきました。講師は九州大学の伊藤鉄英先生です。アルコール性慢性膵炎や胆石による急性膵炎などは時々経験しますが、重症急性膵炎は動脈からカテーテルにより抗菌剤と酵素阻害剤を注入することで著効する例もあることを知りました。胆管結石にEST(内視鏡的にVater乳頭に切開を入れて胆石を腸管に出す治療)を行うことや急性膵炎後に生じた狭窄膵管にステントをいれて膵液の流出を正常化する治療などについて勉強させていただきました。
また、膵臓学会のホームページから膵炎の治療ガイドラインがダウンロードできるようになることも教えていただきました。
 どちらもためになる会でした。

http://fhp.jp/hatama_clinic/

http://www1.bbiq.jp/hatama_clinic/index.html

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